かたてわざ

いろんなことを、気が向く範囲で片手間で。って言いながら最近 2nd ブログと更新ペースがどっこいどっこい。

ホンダ X-ADV の 600 km 試乗インプレ

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発表当時、アドベンチャー モデルのような走破性を備えたビッグ スクーターというポジショニングに関心をそそられるも、明らかになったスペックを見るや 238 kg という重量級の図体に萎えてしまった車種。
 
それでも、どんなバイクか試してみたいという気持ちはあり、ちょっとまとまった時間が得られるこの時期、レンタルするならこれと決めていました。
 
とはいえ自分、実はスクーターにちゃんと乗るのは初めて。
借り受ける際に店員さんに、「どうやってまたがるんですか」とか「スタンドはどうやって払うんですか」とか聞いてしまう始末。
左レバーがクラッチでなくブレーキというのも公道では未体験だったので、どうなることかと思っていましたが、まる一日 600 km を走って、結果的にその乗り味を堪能することができました。

 車格はビッグ スクーターらしく大きいですが、足つきに問題はなし。

ただ取り回しは重いです。
シート下のスペースは、自分のツアークロス 3 のようにツバがあるとうまく収まりませんが、普通のフルフェイスはすっぽり入るようですし、そうでなくても荷物をぽいぽい入れることができるので便利ですね。
借りたのは 2017 年モデルで、5 段階グリップ ヒーターもあればスマート キー システムも付いています。
 
以下、3 つの視点から。
 
1. 速く乗れるか ★★★★
1 年半ぶりの大型バイクなので感覚として当然かもしれませんが、結構ぐいぐいスピードが出ます。
高速道路の流れを難なくリードします。
一般のビッグ スクーターと違い、ベルト駆動でなくオートマ (DCT) であることも影響しているんでしょうか、どっしりとした車体をよくここまでキビキビと動かすもんだと驚きました。
 
下道は、舗装林道の九十九折れのような場所ではさすがにヒラリヒラリと振り回しづらいですが、それ以外は上り坂だろうが下り坂だろうがいいペースで切り返して流せます。
クラッチ操作に気を取られないので、アクセルとリーンに集中できるというのも効いているかもしれませんね。
 
DCT の変速はガチャガチャと忙しげですが、加速にもたつく感じはしませんでした。
まぁ、普段から大型バイクで「スポーツ」している人からすれば若干もっさりと感じるんでしょうけど、ターンパイクや伊豆スカのような道をややハイペースでクルージングするような意図においては不足がないと思います。
 
2. 楽に乗れるか ★★★
ビッグ スクーター自体が楽に乗れるバイクという印象で、一般のバイクに比べると実際楽ですね。
何よりも、シフト操作が一切ないのが大きいです。
ペダル操作もないから足は前方に投げ出しておけるし、5 段階可変スクリーンで高速走行時の風圧も抑えることができます (でも、風切り音はすごくします)。
 
ただ、シートも大きくて座り心地はいいんですが、背もたれがないので姿勢としてはちょっとキツかったです。
足を前方に出し、手もハンドルにかけるとなると、腰に結構なストレスがかかるんですね。
リアシートとの段差に尾てい骨を当てることができなくもないものの、そうすると今度はハンドルが遠くなる。
公式サイトの画像を見ると足はステップの最後方まで引いているので、前には出さずに「低いスツールにいい姿勢で座っている」感じで着座するのがいいかもしれません。
これは単なるビッグ スクーターというよりもアドベンチャー志向やスポーツ志向を取り込んだスタイリングゆえの事情かもしれません。
 
あと、ハンドル周りに快適性を高めるための物理的余裕が少ない点は気になりました。
USB 電源くらいはどうにでも付けられそうですが、スマホ ホルダーやその他のアクセサリ類を取り付けるにはかなり悩まされそうです。
今回は自前のシンプルなスマホ ホルダーをハンドル バーに取り付けてみましたが、視線移動が大きくなってしまい快適とは言えませんでした。
バーの中央にはスマート キーのインジケータが並んでいて使えず、メーター周りにも吸盤をいい強度で張り付けられるほどの平滑面がなさげ。
案外ストイックな乗り方をイメージしてるのかな、などと勘ぐってしまいます。
 
3. 長く乗れるか ★★
600 km 走っての実平均燃費は 26 km/L で、タンクは 13 L なので 300 km 強は無給油でいけます。
この車重とパワー感でこの低燃費はかなり優秀なんじゃないでしょうか。
 
しかしながら、上記に関連して、理想的なライポジがツーリング終盤まで見つけられなかったのが痛いです。
個人の感覚ですが、乗っているほどに腰へのストレスが気になり、落ち着きません。
結果として「どこまでも延々と走っていく」というのでなく、適宜休憩してストレッチしたくなるくらい。
動力性能としては距離を十分稼げるだけに、惜しいところです。
 
また、これも上記にあるように風切り音がものすごくします。
スクリーンを最上段にすると顔面への風圧をしっかり押さえられるものの、スクリーンが絞り込まれているせいかヘルメットの両サイドを風がガンガン抜けていき、「風圧には翻弄されないがうるさい」という状態に。
スクリーンを変えれば解決できそうなポイントですが、これも長距離・長時間走行にはネガになりますね。
 
まぁ、結果的に 1 日 600 km 走っているので、長く乗るのに向かないとは書けないんですが、たとえこの半分の距離でも、頻繁に走るのであればライポジやスクリーンの工夫をしっかりしないとしんどいかな、と思いました。
 
総評 ★★★
乗り始めてしばらくして思ったのが、これは「背もたれのないオープン カー」なんだなということ。
それを言ったらバイクはみんなそうかもしれませんが、やはりオートマチックなクルーズ感という意味では DCT なり無段変速のビグスクはその趣が強くなりますね。
 
ただ、どかっと寄りかからせてはくれません。
それをしたかったら NM-4 にしとけと。
逆に、そこで寄りかかれないストイックなバイクとしてのスタンスを維持しつつ、ビグスクでありながらバイクの一トレンドであるアドベンチャー志向を取り込んだのが、X-ADV ということでしょう。
その意味では、ビグスクでありつつも「楽をさせる」つもりは別にないバイクなのかもしれません。
 
そんなバイクが万人受けするのかというと、しないでしょうね。
アドベンチャー路線といっても、このバイクで入れる未舗装路はかなり限定されると思います。
何よりこの重さが、いろいろできそうな方向性を狙ったバイクとしての可能性をスポイルしかねません。
ガード レールのない細い林道で U ターンとか、絶対やる気になりませんよね。
 
一方で視点を変えると、キビキビ走れるビッグ スクーターという意味では、ヤマハの TMAX とカブるにしても面白い 1 台だと思います。
ユーティリティ面では TMAX の方がクルコンや電動スクリーンを先に備えてしまっていますが、こちらは 1.4 倍の排気量と DCT を武器に、それこそ郊外の高規格道路でのスポーティなハイペース ライディングで、もっと細切れな時間軸での爽快感を得るのに向いているんじゃないでしょうか。
 
結局、名前に ADV と入っていたり装備がアドベンチャー向けだったりというのはあれど、これらは「ファッションとしてのアドベンチャー」なんだと割り切った方がすっきりすると思います。
まさに「いざという時の未舗装路対応」くらいはできるにしても。
そのうえで、ライポジやスクリーンを工夫して長距離クルーズへの適性を個人レベルで改善すれば、遠乗りツーリングのよき相棒となるでしょう。
 
しかしそれでも車重は重いw
アフリカ ツインと同程度の車重ってどうなんですか。
あと 20 kg 軽くなってくれたら化けそうだけどなぁ。